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 001から010まで

001:春醜さを脱ぎ捨てるよに老いてゆく久遠の花のほころんで春002:暇あなたとの暇つぶしにも飽きてきて影ひとつずつ流す暗渠に003:公園きっとまだ待っているから会えないと教えてあげる日比谷公園004:疑「では何を信じているの」と疑問符を省いたそれは…

 051から060まで

051:言い訳言い訳も謝罪もできずどこまでも弱さのみ振りかざす戦争052:縄まず縄をなうところからはじめます。まだもう少し生きるのもいい。053:妊娠生き延びる口実とする。妊娠を。まず父であるあなたを殺す。054:首首筋が求めてる秋つめたさを髪を切り…

 041から050まで

041:越古い歌口ずさみつつ刃(やいば)研ぐ「今宵牝牛は月飛び越える」042:クリッククリックもドラッグも知らぬままでいい甘やかに夢さがす左手043:係あなたとの関係を火にかけている見物ね最後に何が残るか044:わさびもしここに生活がまだあったなら賞…

 031から040まで

031:てっぺんもみの木のてっぺんに星。梯子なら、押さえてるから君が飾って?032:世界しっかりと抱いているから眼を開けてごらん娘よこれが世界だ033:冠まだ同じ踊り場にいるもう君が草冠の姫じゃなくても034:序「どの口が序の口だって?」(この口よ)…

 021から030まで

021:くちばし軒下のくちばし夏を呼んでいるもうすぐ赤いスカーフするの022:職職はある帰る部屋に待つ人もある日暮れ家路に影を失う023:シャツどっちにも行けない味方したくないまた朝が来るシャツブラウス着る024:天ぷらあのときはわからなかった作法な…

 011から020まで

011:嫉妬嫉妬するほどの何かがあるじゃなし見て見ぬふりも上手になって012:達友達になりたいなってくださいと叫ぶ喉より血のほとばしる013:カタカナ呼びかけがカタカナ→漢字になっていた。それだけのこと。それだけのこと。014:煮ぐらぐらと煮立った鍋を…

 001から010まで

001:笑見たことが無いからだろうどうしても君の笑顔が思い出せない002:一日一日の終わり武装を解くように脱ぎ捨てる服の中は空っぽ003:助真っ直ぐに向き合う勇気などなくて補助線をひく苦しまぎれに004:ひだまり午後三時四十二分この部屋に落ちる最後の…

 071から080まで

071:メールeメール、「電子メール」と言う人の、律儀さを写し取るようにメモ。072:緑見上げれば高き窓ひかる踊り場で降りそそぐもの緑まぶたに073:寄さびしさを持ち寄って火にくべている照らすためじゃなく煙に巻くため074:銀行銀行の無い土地でした西日…

 061から070まで

061:@その文字を猫の声と呼ぶ国がある越えてゆけ@電子の波を062:浅金曜日午後二時半にお茶会を「ウインズ浅草」夢のあとさき063:スリッパ顔だけを覗かせて二人かくれてる子ネズミみたいだねスリッパ064:可憐許されているものだけがそこにいて君がその…

 051から060まで

051:熊誰ひとり犬さえもいない白昼の夢その奥で眠る穴熊052:考思考してしこうしてそう志向して君に恋していると認める053:キヨスクささやきは焼き付いて消えることがないキヨスク裏の電話機になお054:笛恋着の午後地の果てに霧笛鳴るあなたが眠る海は深…

 041から050まで

041:存在存在が耐えられぬほどに軽ければ飛べるかも何もかもを忘れて042:鱗いまは無き熱の片鱗くちびるのおもてに残る薔薇に似ている043:宝くじ亡霊は佇み宝くじを買う人を見ている数寄屋橋にて044:鈴何度でも鳴らす呼び鈴きれぎれに祭囃子の遠ざかりゆ…

 031から040まで

031:忍懸垂はできそうもない試みに指をかければ忍び返しが032:ルージュ口紅はひかないすぐに落ちるから口ずさむ「ルージュ」途切れ途切れに033:すいか冷蔵庫すいかは徐々に膨らんですべてを飲み込み寿命を終える034:岡岡崎に家族は集い遠ざかり貴族がい…

 021から030まで

021:サッカーゆらゆらと母は日射しに溶けてゆくワンピース青きシアーサッカー022:低低空を飛んで見逃さないように君の棺が運ばれてゆく023:用紙常套句みだれつけいる隙も無くレポート用紙の白そして白024:岸まるで岸壁を歩いているようだ虚空右手が自由…

 011から020まで

011:除その人はおそらく白い服を着るしるしはすべて取り除かれて012:ダイヤ四本の手を強くただ結び合いダイヤは凍る移ろいもせず013:優この星の最後の二人になりましただから踊ってせめて優雅に014:泉いまだけは曇らずにいて一対の泉は朝の光を浴びて015…

 001から010まで

001:おはよういまはまだ誰のものでもない朝(あした)駆け抜けてゆく君におはよう002:次夕闇に名残の桜式次第さよならいつか花びらの舞う003:理由「探さないで」遠ざかるたび思うたび薄らぐ理由置き手紙ひとつ004:塩午前四時雫は音を立て落ちぬ暗がり砂…