001から010まで

001:笑
見たことが無いからだろうどうしても君の笑顔が思い出せない

002:一日
一日の終わり武装を解くように脱ぎ捨てる服の中は空っぽ

003:助
真っ直ぐに向き合う勇気などなくて補助線をひく苦しまぎれに

004:ひだまり
午後三時四十二分この部屋に落ちる最後のひだまり揺れて

005:調
神様がひとり調光室にいて夢の終わりを告げる暗転

006:水玉
天気雨葉っぱの傘をくるくると踊る水玉きらめいて夏

007:ランチ
屈託の十二時誰とどこへ行くランチボックス下げて遁走

008:飾
音も無く首飾りの切れ落ちる宵なにも教えてくれなくていい

009:ふわふわ
何に気をとられていたのふわふわと遊んでいたの猫よお前は

010:街
遠き日のまぼろし祖母の思い出と連れ立ち歩く日光街道