051から060まで

051:熊
誰ひとり犬さえもいない白昼の夢その奥で眠る穴熊

052:考
思考してしこうしてそう志向して君に恋していると認める

053:キヨスク
ささやきは焼き付いて消えることがないキヨスク裏の電話機になお

054:笛
恋着の午後地の果てに霧笛鳴るあなたが眠る海は深くて

055:乾燥
簡単に押し潰される親指でそれほどまでに乾燥している

056:悩
煩悩の犬かたわらに仮寝して夢を見るいつか狼になる

057:パジャマ
呼んでいる声が聞こえる明け方にかき合わせているパジャマの襟を

058:帽
屍が近付いて来る真っ直ぐにソフト帽の陰表情は無い

059:ごはん
潤沢なときに小分けに保存する冷凍ごはんのように気持ちを

060:郎
湿原を遠回りして君遠く野アザミ吾亦紅女郎花